
に入ったとたん急速に拡散する、いわゆるいぶし現象がみられる。
[数値計算例]
煙や有害気体の濃度を算出するにはその排出率データが必要となるが、未だ十分な資料がないため、ここでは、単位排出率の発生源があるものとして、地表面濃度が距離によってどう変わるかを試算した数値例を示す。
図2.3.3は熱流の上昇高さが地表濃度に及ぼす効果を示したもので、上昇が高いと火源近くの濃度が非常に小さくなり、遠方で再び濃度が高くなることが示されている。
温度逆転層があると燃焼で発生した汚染物質は大部分第一番目の逆転層と地表間に閉じ込められた状態になり、高濃度を保ったまま移流することとなる。図2.3.4は逆転層の高さの影響を示したもので、逆転層が低くなるとより高濃度を示すことが分かる。
大気汚染物質の発生については、大規模な焼却に関する実験データは極めて少ない。煤についての比較的小規模な火災実験データ4)を参考に示すと、粒子状物質の多くは黒煙であり、燃焼した燃料からの重量転換率は高くても約δ1=0.1(10%)であり、単位煤重量濃度当たりの消散係数即ち比消散係数は約Kδ=9.1m2g ―1で他の煤発生燃料でもこの実験値に近いことが示された。
その他一般的に油火災の気体生成物について、次のようなことが知られている。燃焼効率は比較的高く、炭素の約90〜95%は二酸化炭素として放出される。硫黄酸化物は燃料中の含有量に比例する。窒素酸化物も燃料中の含有量に比例し、サーマルN0xは燃焼最高温度が低いことから発生率は少ないものと推定される。他の汚染物質としては芳香族炭化水素化合物PAH(poly aromatic hydrocarbon)等が考えられるが、ほとんどはもともと油に含まれているもので、焼却によって多くは分解して一部は放出されるが、大気拡散により希釈されるので地表面濃度は極めて小さいと思われる。
具体的な数値で影響を評価するには、煙や有害気体の排出率についての検討が必要となる。また上の計算手法は火炎上昇流による渦等の動的な挙動や、地形の効果、海陸の影響、粒子の沈降などには対処できていない点がある。これらは焼却処理の影響を評価する上でも大きな問題と考えられる。多くは研究途上であり、
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